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リベンジャーズ・トラジディ(2002年)

悲しいかな、この映画が2003年劇場公開されていたことに気づきませんでした。先日ミュージック・ショップでこの映画のTシャツ付きDVD BOXをみて映画自体の存在に初めて気づいたような次第で。監督アレックス・コックス、主演クリストファー・エクルストン、原作トーマス・ミドルトン、これだけでツボつかれまくりなんで、密林から通常版をとりよせる手間をおしんでTシャツつきDVDを買ってしまいました。でっかく「REVENGE」ってかいてある髑髏Tシャツなんですけど……(サイズMですが、男性にはちと小さいのでは)。

トーマス・ミドルトン(あるいはシリル・ターナーとも)の戯曲『復讐者の悲劇』をアレックス・コックスが映画化した一本です。話は単純で、悪党一家に牛耳られた街があって、悪党のボス「デューク」に恋人を横恋慕され結婚式の席上で惨殺された男が、十年の時をへて復讐にたちあがる、というオハナシ。まんまマカロニ・ウエスタンのような話で、マカロニ好きの監督アレックス・コックスが大学生時代に「おもしれえ!」と思うのもなっとくのエリザベス朝流血劇の代表作です(実際にはエリザベスのつぎの時代の戯曲)。

主人公の復讐者(リベンジャー)役のクリストファー・エクルストンは、いつもの思い詰めた怖い顔で、恋人を殺された怨みをはらす執念の男を好演。戯曲冒頭のハムレットのパロディ、恋人の頭蓋骨に語りかけながら復讐を誓うクレイジーな独白がかっこいいです。実の妹を美人局につかい、デュークとその極道息子たちに近づき、破滅させてゆきます。デューク役は低予算映画でもひきうける名優デレク・ジャコビ(カドフェル神父と同じ人とは思えない「ヒヒじじい」役を楽しそうにやってます)、デュークの息子役にエディ・イザードが。エディ・イザードはほとんどすっぴんで(以前のイメージにくらべてですけど)、格調高い台詞もこなし、非常にまじめに演劇してます。おどろきました。

舞台はルネサンスのイタリアではなく、近未来のリヴァプール。設定も微妙に修正されています。DVDのジャケットがギラギラしたポップなものなので、映像もかなりキッチュで暴力的なものを想像して観たのですが、これが意外と正当派。戯曲の解釈なども意外なほどまっとうで、流血シーンも、やってることはけっこうエグいんですが常識の範囲内だと思います。舞台設定を近未来にしたのは、低予算映画として当然のなりゆきだったらしいですが、リヴァプールの廃墟のような街角で撮った映像が殺伐としていて、いつの時代にもきえることのない貧富の差、永遠につづくねたみと欲望、憎しみの循環ようなものを無言でかたるのに貢献しています。

DVDにはメイキング映像がはいっていて、エリザベス朝の演劇が、舞台をその時代の英国ではないどこか、たとえばイタリアなどに題材をとって描くという手法が、マカロニ・ウエスタンとどこか似ていると語るアレックス・コックスのコメントがおもしろかったです。架空の舞台だからこそ自由にいいたいことを仮託することができると。マカロニ・ウエスタンとメキシコ革命について語るイギリス人映画監督の映像をはじめてみましたよ……。「復讐」についてそれぞれコメントする監督(人を呪わば穴二つ)、主演俳優(復讐についてははっきりいって考えたことがある)、悪役俳優(あまり考えたことはないよ)が面白かったです。

ただ、個人的な好みからいうと、やはり復讐劇の演出はやたらと物を壊す(?)印象の強いアナーキーなリヴァプール味より、こってり耽美系イタリア味のほうがカタルシスがあっていいな……。実の妹を美人局に使ったり、デュークの親族が近親相姦にふけってたりする血のエロティシズムがあっさり風味なんですよね。俳優の演技をこぼれんばかりにフィルムに焼き付ける舞台のような演出は素晴らしいのですが、原作の持つそのへんはアレックス・コックスの資質ではないんでしょう。
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by supersonicxxx | 2005-01-11 02:00 | イギリス映画